月読書生猫日記

雑食オタクの色々感想文です

マジョのシマ

 

マジョのシマ

マジョのシマ

  • COCOSOLA Inc.
  • ゲーム
  • 無料

 【開発】COCOSOLA INC.

【リリース】2017年

 

【あらすじ】

大陸から少し離れたところにある孤島。

そこには小さな町がある。

― それは魔女に支配された町。

 

ある夜、島の住人が突然現れた魔女に死の呪いをかけられてしまう。

明日の朝までに魔女の「盗まれた壺」を探し出さなければ、

呪いによって命を落とすことになる。

彼女は壺を探し始めるが、次第に島に残された「魔女の秘密」に触れていくことになる。

(アプリ紹介ページより引用)

 

先日何となく気になって、軽い気持ちでダウンロードしたこちらのゲーム。

程よい情報量で作りこまれたドットの世界に魅せられ、すっかりやりこんでしまいました。

完全にノーヒントで取れた要素は少ないのですが、ヒントも参考にしつつ、取れる要素は全て取ったと思うので、自分の記録もかねて残しておきます。

 

舞台は、魔女に支配された孤島です。

時には生贄を求め、島を我が物のように扱う横暴な魔女のように見えますが、そうとは思っていない島の住人もいる様子。

その違和感については、ゲームの進め方次第で明らかになる仕組みです。

 

最初に見える島が、移動出来るステージほぼ全てです。

横スクロールに近い、平面のシステムのステージが遠近感がつけられたいくつかの階層に分かれており、疑似的に立体感のあるステージとなっています。

階段やはしごを上り下りすることで、シームレスに移動することが可能です。

あらすじはシンプル。

島を支配する魔女により死の呪いをかけられた島に住む女性が、魔女に盗まれた魔女の壺を探し出すように依頼されて、その壺を探して届けるというものです。

呪いは明日の朝までの期限付き。

時間制限がありますが、壺自体は(相当迷わなければ)すぐに見つかります。

あとは有り余る時間をどう過ごすかによって、エンディングが分岐します。

このエンディングがまた、良いのですよ……。

足りないピースを全て集めて、そして納得のあの結末。

頑張ったら報われたいですよね。

最後までプレイしましょう。

自力で解けなかった場合でも広告を視聴すればヒントの解放が可能です。

私は作者への寄付の方で課金して、広告解除は結局最後までしなかったのですが、広告がわずらわしい人は、早い段階で250円だけ課金した方が、ストレスフリーにプレイ出来るかと思います。

 

開発したのはCOCOSOLA Inc.です。

流行りのスマホゲームに敏感な方ならご存じでしょう、あの名作(迷作?)「アルパカにいさん」の会社です。

作品の幅が本当に広くて、言われるまで気が付きませんでした。

こちらはあまりシュールな雰囲気はなく、ヒントも見つつ半日も集中してやり込めば全クリ出来るボリュームながらも、しっかりとまとまった物語になっています。

 

いわゆる隠しモードもあるのですが、こちらは難易度高めでした。

表面というのか、最初の方はカンが良い人ならノーヒントでもいけるかもしれないという程度の難易度(アイテムコンプなどのクリアに不要な要素はヒントがないと厳しいと思います)でしたが、こちらはノーヒントでのクリアは厳しいのではないでしょうか。

某屍人と戦うゲームをプレイ済みの方なら、攻略上必要な視点は既に鍛えられているかと思います。

つまりターゲット、つまり視点の切り替えが必須となります。

このターゲットの切り替えは目標の行動の追跡にも使えますので、早めの段階で慣れておいた方が良いと思います。(ここまで攻略上のネタバレ反転)

 

続きはネタバレありの感想ですので、未プレイの方は閲覧に気を付けてください。

 

では、まず攻略上必要な部分のネタバレを。

ストーリーのネタバレ込の感想は最後にいたします。

 

この話、結構入り組んでいるんですよ。

主に操作できるのが主人公の女性のみ、メインとなるキャラも魔女を含めて二人……と思いきや。

最後に突然出てきた例のキャラ、一周目では正体が分からないようになっています。

そのため周回プレイが必須となるのですが、一度エンディングを見てしまうと最初からやり直すためのボタンしか押せなくなってしまうため、効率重視の方は必ずセーブしてから二周目にいきましょう。

各種フラグは引き継がれますので、そこは親切。

ACHIEVEMENTには一部、集めたかどうかに加えて「いくつ集めたか」が必要なものもありますが、ここの収集状況は合計ではなく、今現在所持している個数となりますので、使用すると消えてしまうアイテムに関しては集めなおしが必要なようです。

 

あと、一部でバグだと評価を落としている方がいらっしゃいましたが、アイテムが見つからないものに関してはノーヒントではほぼほぼ見つけられないだろうというだけでバグではありません。

折角の良作を勘違いで評価を下げられるのも不本意なので、最後に少しだけ、自力で考察する余地のあるヒントを添えておきます。

 

まず、シークレットの方のモードでのアイテムコンプについて。

恐らく、最後のアイテム(チーズ※ネタバレのため反転)に関しては、ノーヒントでは埋まらない方がほとんどではないでしょうか。

こちらに関しては一周目では埋められないと思います。

何故なら一度出会ったキャラクターにしかターゲットは切り替えられないのですが、このアイテムは、出会うよりも前のタイミングで、とあるキャラにターゲットを切り替えて、彼が一周目では行けなかった場所にいることを確認しておかないと、入手のフラグがたたないからです。(ここまでネタバレ反転)

もうほぼ答えですよね。

私も悩んだ部分なので、頑張ってください。

 

さて、ストーリーについて。

ここから先はシークレットも含めて全部のエンディングを見た前提でお話します。

また、最初にプレイしたステージのことを、仮に表面と呼称します。

一部私も理解に時間がかかった部分もありますので、間違っていた場合はコメントいただけると助かります。

 

この作品における主人公は、その昔島の住民を助けた外国の王妃であり、魔女の正体とは、その昔島の住民を救ってくれた外国の王妃が豹変したもの――ではなく、彼女が召喚し、契約に失敗した異世界のもの――でもなく、さらにその異世界のものの隙につけこんだ、第二の異世界のものであるという解釈で間違いないかと思います。

(本編における「王妃と契約したもの」と「魔女となるもの」と書かれているキャラのことですが、こちらの名称に関しては表面では言及されません)

 

王妃と契約したもの=文字通り王妃が召喚した方の異世界のもの

魔女となるもの=王妃と契約した異世界のものにとってかわって、島を支配しはじめた異世界のもの

です。

長くなってしまうので、以下魔女となるものは「魔女」と呼びます。

 

時系列順に並べると、こうでしょう。

 

昔、恐らくは外国の王妃の夫である王の手によって「王妃と契約したもの」と「魔女」は一緒に壺に封印されていた

何らかの理由によって封印が解除された際、「魔女」は壺を持ち去った

王妃に召喚された「王妃と契約したもの」が、王妃が契約に失敗したのを良いことに、「王妃と契約したもの」にとって都合の良い契約を一方的に結ぶ

(恐らく本来は実力では劣るはずの)「魔女」が壺を利用することで「王妃と契約したもの」を再封印し、「王妃と契約したもの」にとってかわって魔女としてこの島に残って支配するようになった

(ドット絵なので見づらいが恐らく王妃と魔女は顔が同じなので、これにより、島の人間からは王妃がいきなり豹変したように見えた)

「王妃と契約したもの」は壺に封印される前or封印された直後に、あらかじめ予防策として島の人間を使って復活の準備を進め、反逆する機会を虎視眈々と狙う

(ここまでがシークレットのストーリー)

しばらくの年月を経てから「王妃と契約したもの」が何等かの手を使って、盗賊に自分が入った壺を盗ませた

壺がないことに気付いた「魔女」は、壺を取り戻させるべく、「王妃と契約したもの」によって眠らされていた(石になっていた?)王妃を一時的に目覚めさせ、壺を探すよう命じる

(ここが表面のOP)

表面のストーリー

全ての条件を揃えることで、王妃は異世界のものを2体とも撃退することに成功する

 

というところでしょうか。

 

シークレットの方でしか語られない部分も含めて記載しましたが、この「魔女となるもの」および、「王妃と契約したもの」まで倒しきることが、真のエンディングにたどりつく必須条件となります。

この王妃についてですが、何故外国の王妃がこの島を助けてくれたのかなどの理由に関しては、回収したアイテムの内容を確認すれば分かりますので、ぜひご自分でプレイして、確認してみてください。

 

時系列としてはシークレット→表面とはなりますが、結果が分かっているはずのシークレットもこちらでしか語られない話が多く、お互いがお互いの欠けている情報を補い合っている形で存在しているので、まったく飽きません。

 

個人的に一番好きなシーンは、なんと言ってもあのエンディングですが、特に好きなのが、あの結んでいた髪がほどけるシーン。

主人公の女性の仕草もヒントだったんですね。

時々眠たそうに目をこすっていたのは恐らく、本来なら眠っている時間に無理して起きているからなのですが、それ以外にやたらと繰り返していたのが、髪の毛をくくりなおす仕草でした。

それも、このシーンのための伏線だったのでしょうね。

 

ドット絵のどこか懐かしい雰囲気と、あまりゲームを邪魔しない環境音に近いBGM、ぱちぱちとたき火のはぜる音と、暗い雰囲気ではありますが、心地よさもある不思議なゲームでした。

おすすめです。